Kyoji Takahashi "LOST"
高橋恭司「LOST 遺失」展
2019年9月14日(土) - 10月26日(土)
Open: 土日2-7時
オープニングレセプション
2019年9月14日 (土) 5-7時
アマラは2019年9月14日(土)より、90年代より広告や海外雑誌『Purple』などで時代の本質を鋭く捉えた美しい質感のある写真を発表し、今日の写真家に多大な影響を与えている写真家高橋恭司「LOST 遺失」展を開催いたします。
「写真的であるとは、断片的であるということです。私は時間がリニア(直線的)につながっているとは思ってません。あるところで途切れたり、別の部分でつながったり、混線したり。複数になったりしているのかもしれない。もしかしたら、過去も変化している可能性がある。普段、写真を撮るときに共通のテーマはなく、同一のアティテュードであるかということも疑問がある。セレクトしていて見えてくる共通性や違和感、コントロールの外に向かう時、可能性があるのではないだろうか。最近の自分の写真を見て、『LOST』という言葉が思いついた」と高橋は語ります。
本展では、日本やドイツで撮影された、どこかへ向かう男女、見つめ合う恋人のような二人、スロットの広告や喫茶店のモーニングなどの飲食物・食器など日常にあふれるものを撮っている一方で鳥の死骸や墓跡、マリア像や異国の神々の像などの写真作品約20点を展示いたします。コミニケーションをはじめ、さまざまなものが時系列に激しく変化していく現代において、異なる複数の時間と空間が交差する本展をぜひご高覧ください。
なお、TOKYO ART BOOK FAIR 2019にて先行発売された 写真集『LOST』(amala books / A5 / 48P / 250部限定 / 定価2,000円)も販売いたします。
LOST (LOST AND FOUND)
おとし物とどけカウンターに、とどけなければ…。
僕のわかい時のことを どこかにおとしてきた。
ずいぶんたってから、忘れていることさえ、忘れている。
ーいろいろなエピソードや絵の断ぺんが、とどけられている。僕は占いや、夢のおつげによって思い出そうとしているが、いったい何の思い出を?
ニーチェはムチでうたれる馬を見て、発狂したらしい。そのエピソードもさだかではない。
あいまいな断ぺんが、宙にまっている。とも言える。グルグルと。
僕は断ぺんを呼びだしてみよう。
うすい板に、すかし絵のように、おとし物とどけカウンターに。何度も出たりはいってりしている。
僕は忘れてみる。そして、ぐうぜんひろってみる。かつてなくしたもの(失ったもの)は別の可能性をもって、誰かがひきとりにくるのをまっている。
髙橋恭司
写真家。1960年生まれ。90年代より広告や海外雑誌『Purple』などで時代の本質を鋭く捉えた美しい質感のある写真を発表し、今日の写真家に多大な影響を与えている。個展「夜の深み」(2016年・nap gallery)、グループ展「Elysian Fields」(2000年・ポンピドゥーセンター)ほか。『The Mad Broom of Life 』(1994年・用美社)、『ROAD MOVIE』(1995年・リトルモア)、『Takahashi Kyoji』(1996年・光琳社出版)、『Life goes on』(1997年・光琳社出版)など多数の作品集を出版。